屋根を思う

2019年2月8日

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突然ですが上の写真は築20年経過しているとは思えない素晴らしい出来ばえの屋根です。大工と瓦職人
様々な技術の融合で創られています。残念な事ですがここまで良くできているものは最近では中々
見られなくなってきています。 (^_^;)



私たちペンキ屋は塗装工事をするにあたって色々な屋根の家に上がります。
和瓦もあれば洋瓦、トタン長尺、段葺屋根、ステンレス屋根もあれば金属瓦、 モニエル瓦、セメント瓦、
防災瓦 、アスファルトシングル等々 …
数え上げればキリが有りません。 それぞれに長所と短所が有り、年数が経った様々な屋根を見てくるなか
で長期に渡り総合的に屋根材として優れているのは何かと考える事が有りその時に、
頭に浮かぶ一つにコロニアルがあります。
積雪地域や沿岸地域、硫黄の強い温泉地等、特殊な条件の場所は別として、 高温多湿で温度差の大きい
日本の風土を考慮したとき先ず求められるのが 通気性と防水性、(水は入れないが水分を含んだ空気は
外に出すという機能が必要です。) 
それと構造が単純かつ合理的であることです。
コロニアルの原理は昔の杉板屋根にとても近く、シンプルな構造です。
板状の物を重ねて水を逃がしながら且つ湿っ気が溜らない様に風通しは良くしておくという工法です。
瓦も原理は近いのですが重ねしろの少なさから強風の雨の時はどうしても少し水が差し込みます。
(多少水が入っても瓦の下には防水紙が敷いてあり又木部が吸水しますので雨漏れはしません。)
防水性と言う点では長尺やサンコウブキがとても優れていますが高密度の為に通気性が少なく
金属特有の熱伝導率の大きさや大粒の雨の時の雨音の騒音の問題もあり通常の施工では
住宅用としては疑問が残ります。
これは居住性の問題もありますが一番の問題は 冬場室内と室外の温度差の熱伝導率が
高いため小屋裏で結露を起こし、室内が高温になる場合は野地板がグッショリと濡れ
構造体の腐朽につながる危険性が多いと 言う事です。(防湿層がある場合、2重葺は別です)
よくトタン屋根の家で軒先の野地板が 腐っているのはこのケースが多いと思われます。
それと酸性雨や地震の問題、美観等 色々ありますが・・・
施主さんによく「屋根は日本瓦が一番いいのでしょう?」 と聞かれますが
ペンキの塗り直しをする時期、築後15年ぐらい経過した建物で10件中7・8件は屋根の上に昇ると
瓦の家は漆喰が崩れていたり瓦がずれて直線が出ていなかったり、釘が浮いていたり
何らかの問題点が見られ(ついでなので塗装工事にはいると、いつも修理をしてますが)
これは本質的には建物の主要構造物が瓦に影響している場合が多いように感じます。
たしかに構造体がしっかりして十分な屋根勾配があり、造りの良い瓦を使用していればとても理想に近いと
と思いますがお寺やお城で使われるような材木、技術を一般住宅では使われていないのが現実です。
瓦の構造は屋根の横桟に引っかけ重ねてあるだけの状態ですから構造体が余程安定していないと大きな
地震の時や瓦下に使用されている材木等が動いたり反ったりしたときに直接、その影響を受けて瓦自体が
動いて隙間やズレが発生します。
それと瓦は重量の問題がどうしてもさけられません、昨今の地震を考えると阪神大震災のときに
押しつぶされた多くの家は重い瓦の家という現実があります。
それらを総合的に考えたとき実際に15~25年経過した屋根を見てみると
実践ではコロニアルの屋根が私的には一番安定している様に
思える事が多々あります。

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