窯業系サイディングのコーキングトラブルの原因と工事

2020年7月23日

初めに、言いたい事は、サイディングとコーキングの接着相性はすこぶる悪いと云う事です。
その為、プライマーをサイディングに染み込ませてそれに対してコーキングを接着するという
方法が用いられています。
下の写真5枚目は、塗ったつもりのプライマーの塗り残しがあり剥離が起きていた例です。
私が若い時に、教えて頂いたコーキング屋の社長はプライマーは2回打たないとダメだよと
良く言っていました。
(今思い返すと、人間だから、必ず落ち度があると云う事を言いたかったんでしょうね)
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樋金具を取ったところです。一ヶ所だけ剥離、他は完璧です。
せっかくいい工事をしているのに大変残念。
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コーキングを撤去してみると、しっかり奥まで入っていてエアーの巻き込みも無く
施工技術の高さが伺えます。
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プライマーを先行して打ちます。細かな理由は後日説明しますが無黄変プライマーを使うので、これを先に
打つことによってテープの外壁への接着強度が上がり、浮きが無くなり仕上がりがきれいな為です。
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マスキングテープを施工し
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塗装をしました。
下から空気を押し出すようにシールしていきます。この段階で仕上がりが決まります。
コーキングガンを握る速度は同じでないといけません。量が多いと耳ができるし
少ないと付け足さなければいけないのでエアーが入る可能性が出てきます。
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既存のボンドブレーカーがそっくり生きてますので今回はそれを使いますが
これも実際の現場ではマニュアル道理にはいかないケースがあります。
誰もが口を揃えて2面接着の基本を提唱しますが、木造の動きの大きい建物で、肉厚が確保
できないケースでは数年すると必ず切れます。
その時、漏水を防ぐ最後の一線は深部のジョイナー(あてにならない)とサイディングとジョイナーの
間数ミリのシーリング材でその時に、ボンドブレカーの縁起り機能が逆に裏目に出る事もあるのです。
この事はわかりずらいので後日写真を見てもらって説明したいと思います。
(ついでに旧シーリング材の撤去種類?についても説明します。)
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ヘラでならしを終えたところです。これも落とし目地にしたり特殊へらを使いサイディングと
同じ柄に仕上げたり、さまざまな技法があります。
ですが、何十年というスパンで見た場合、美観より肉厚を優先させるべきだと思います。
それと、同じシーリング材という名目の物でも、ベンチとベンツぐらい比べられないほどの大差があります。
これは、とても重要な事でお施主さん自身が、業者がどのクラスの物を使うのか手間をかけてでも、
ネットで調べて確認する価値があることだと思います。 防水の命綱ですから・・・
業者任せは大変危険です。
これ、まさかと思う落とし穴で・・・業者自身がシーリング材や技法を知ってるようで
知らないのが実情です。
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マスキングテープを取りこの後塗装します。
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塗装しました。
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上の写真を見比べてもわかるように、※プライマーの軽視や施工手順を間違えると数年後、
中央部が切れたりコーキングの際が剥離してきたりします。
ですが、良い材料を使用し適切な施工(肉厚で強密着、エアーを入れないこの3つが重要)すれば
20年経ってもつい先日打ったのと遜色ない弾性機能と美観で家を守れるのです。
しかし・・・、悲しいことに現実は違います。
コーキングが剥がれてきていたり、中央部に亀裂が入っていたり
15年以上経ったサイディングの家を見てもらえればわかるのですが、目地が切れずきちんとした
工事をしている家は10軒に1~2軒ぐらいしかないのが実情です。
追伸、ネットで調べて下さいと言った手前、自分でもチョット調べて見ました
色々な業者さんのコーキング(シーリング)の解説を見ましたが
種類別性能、工事を正しく理解している所はただの1件もありませんでした。
これには、まいったぁ~(^_^;)
というか驚いた。
いかに、キチンとした仕込み(教育)をされてないかという事です。
シリコン、変性シリコン、変性シリコンLB-LMは
長所、短所がそれぞれ大きく違い、同じシリコンと言っても別物です。よく一般的に使われる
変性シリコンLB-LMは汚染を防ぐ為、可塑剤(弾性の主となる成分)を抜いてありますので
暴露した時に耐候性はありません。(2~3年で粉になります。)
塗膜をつければ流失を防げるので有効、弾性が15年以上もつ優れものです。
ですが無塗装で光に当たると変色劣化します。
ですので、※変性シリコンNBはクリアー塗装には適さない、が知らないで使っているところがあまりに多
い(1部メーカーでは耐候性のあるものを新開発したと言っておりますが・・・??)
シリコン、変性シリコンは塗装をかけた場合、可塑剤により塗膜に汚染や変色が起きます。
今度、実際に実験したものを作ってお見せしたいと思います。

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